北岳敗退(熱中症?)

南アルプスの北岳、間ノ岳、農鳥岳を奈良田を起点としてテント泊縦走するつもりで出かけましたが14日に広河原から大樺沢を登り始めて1時間ほどで熱中症と思われる症状に見舞われ、潔く(?)引き返してきました。

        広河原へ渡るつり橋からの北岳
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南アルプスの100名山は北岳、間ノ岳、鳳凰山(観音岳)、光岳を除いて40年ほど前に既に登っており、地蔵岳、観音岳、薬師岳の鳳凰3山と光岳も昨年秋に各々日帰りで登りましたので残りは北岳と間ノ岳だけになっていました。
今年の夏は北岳と間ノ岳に登りたい、どうせ登るなら農鳥岳も含めた白鳳3山を縦走したい、小屋泊まりは好きでないのでテント泊にしたい、できれば混みあう夏山シーズンが本格化する前に決行したい、、、色々な条件を付けながら計画を練ってきました。
そして、天気予報も睨みながら立てた計画が

7/13(水) 奈良田へ入り、バス停駐車場で車中泊
7/14(木) 1番バスで広河原へ向かい、大樺沢を登り二俣から右へ分れて小太郎尾根分岐へ出て肩の小屋へ、更に体力、天候が許せば北岳を経由して北岳山荘まで下り、ここでテント泊
7/15(金) 間ノ岳、農鳥小屋、農鳥岳、大門沢小屋を経由して奈良田まで下る

というもので、全行程がおよそ沿面距離で25km、累積高度で+2600m、-3300mとかなりきつめのコースです。 1番バスの広河原到着が8:50と遅いことと、テント泊装備でおよそ15kgと普段の日帰り山行より荷物が大分重たくなることが懸念事項でした。一応、肩の小屋と大門沢小屋でのテント泊も有りうることも頭に入れて出発しました。

7/14 奈良田のバス停で言葉を交わした青年もほぼ同じ行程で登ると話していました。奈良田発8:02の1番バスは座れない人もでるほどでしたが、2/3は釣人でした。途中で釣人を下ろしながら広河原へ8:50到着、野呂川にかかるつり橋を渡り、広河原山荘のポストに登山届を入れて登山道を登り始めたのが丁度9時でした。ここが標高約1540mほどです。つり橋からは北岳山頂部もきれいに見えていました。
しばらく林間を登り、白根御池小屋への分岐(1660m)には15分ほどで到着、ここまでは発汗は多いものの普段の登りと特に変わった感じはしませんでした。
ここから少し登って左手の大樺沢に沿って登る頃から、急に身体が重く感じ始めました。私は単独行の場合、ハイドレーションに入れた水で少し薄めた市販のスポーツ飲料を歩きながら摂るだけで、立ち止るような休憩はあまりとりません。しかし、今日はどうも様子が違います。
堪らず30分ほどで立ち止まってしまいました。2分ほど休んでから登り始めますが身体は重いままです。更に15分ほどのところでまたも立ち止り、5分ほど休んでまた登りだす。登り始めてからほぼ1時間の1850m付近でとうとう足が完全に止まってしまいました。
腰を下ろし、リュックを外してから立ちあがろうとしたら、立ち眩みのような感じがして登山道に倒れ込んでしまったようです。何か夢をみているような感じで、ハッと気がついたら横臥姿勢になっていました。時間は1分間程度の短いものだったと思います。
起き上った時、後続の人が登ってきて「大丈夫ですか?」と声をかけてくれましたが、意識も戻ったので「大丈夫です。しばらく休んで行きます」と答えました。
10分ほど座り込んでいたら、今度は吐き気がして来て吐いてしまいました。出てきたのはスポーツ飲料だけです。
これまでに全く経験したことのない状況です。頭の中であれこれ考えが巡ります。水分はしっかり摂りながら登って来たのに熱中症なのだろうか? 昨夜は暑くて眠れなかったので単に睡眠不足のせいなのか? もう登るのは無理なのだろうか?
30分ほど休んで出した結論は「単独行なので人様に迷惑をかけることなく絶対に自力下山しなければならない。今日のところは潔く引き返そう。いつか再挑戦すればいいさ!」というごく当たり前のものでした。
途中でもう1回吐きましたが登り以上の時間をかけゆっくり下山し、広河原山荘の水場で顔を洗い、水を少しだけ飲んでようやく生き返った心地がしました。でもまだ頭は少しぼんやりしたままのような気がします。
つり橋を渡り、バス停へ着いたのは12時少し前、11:50発の奈良田行きのバスが出た直後でした。次のバスは16:10です。まだ4時間もあります。
広河原インフォメーションセンターにテーブルと椅子があり、ここをお借りしてバスを待つことにします。そのうちに眠たくなり、小1時間ほど寝てしまったようです。これで頭もすっきりしました。もし前のバスにギリギリ乗れたとしたら車中で吐くようなことになったかもしれません。
インフォメーションセンターに置いてある本や掲示物を見たりしてから15時過ぎにバス停へ移動、ここで二人の釣人と話しが弾みました。今日は釣人が多くて期待したほどは釣れなかったが釣ること自体が楽しいから良かったとか、獲物のない森林限界より上には興味がない、とか色々語っていました。世の中には好みの違う人がいるから面白いと改めて感じた次第です。
16:10発のバスの登山者は私1人のみ、後の7~8人は釣人ばかりでした。

奈良田で自分の車に乗り換え、奈良田温泉で汗を流してから身延へ出て、韮崎を経由し、道の駅白州で名水をペットボトルに汲み、道の駅蔦木宿で車中泊

翌15日は入笠山に登って南北そして中央アルプスの景観を楽しみましたが八ヶ岳や富士山は湧きあがる雲に邪魔されて見えませんでした。
その後、実家へ寄ってお昼を頂いてから夕刻無事帰宅することができました。

        入笠山山頂標識と北アルプス
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さて、今回の出来事はしっかり反省、整理しておく必要がありそうです。

帰宅後ネット等で色々調べてみましたが今回の症状はやはり熱中症(日本山岳協会共済会発行の「登山における熱中症」の分類によれば軽度の日射病と中等度の熱疲労に相当?)だったようです。そして、あの時点で引き返していなければかなり深刻な事態に陥ってしまった可能性大と云わざるをえません。

また、このような事態に陥ってしまった要因として、高い所へ行けば涼しくなるという一般論と、これまで平地でも山地でも変な症状が出たりしたことなどなく、最近だって極暑の中MTBで3時間走りまわっても問題なかった、、自分が熱中症などなるはずがないという思い込みだけで、当時、山梨地方も猛暑が続いていたことにあまり注意を払っていなかったことを真っ先に挙げなければならないでしょう。
これだけでは漠然としすぎるので、もう少し細かく反省してみます。

1.服装は、上は長袖のコンプレッションシャツの上に半袖Tシャツ、下はコンプレッションタイツの上に薄手の登山ズボンを着用、いずれも速乾性素材です。頭には全周つば有りの帽子を被り、首周りにはタオルを巻いて首筋の露出を避けるようにしていた。この格好で高温多湿環境下でも良かったのか?半袖Tシャツを脱いだり、下は短パンの方が良かったのか?
2.飲料はスポーツ飲料2に対し水1の割合で薄めたものをハイドレーションに入れていたが、途中から、やや甘いスポーツ飲料ではなく、真水や塩分が欲しくなった。今後は、汗を多量にかく時期には真水をハイドレーションに入れ、甘いものや塩分は取り出しやすい所に別に持つようにしたい。
3.前夜は標高800m強の奈良田でも蒸し暑くてなかなか寝られず、睡眠不足感が強かった、体調管理の失敗。
4.登り始め時刻が9時と遅く、既にかなり気温が上がっていた。早立ちが基本の自分にとって経験の少ない登山スタイルとなった。
5.登り始め時刻が9時と遅く、後行程が長かったため、無意識のうちに荷物が重い割にはハイペースの歩きになっていたのではないか?
6.自分の体力を過信し、元々無理な計画を立ててしまったのではないか?(世に云う高齢者に仲間入りしたことをしっかり自覚せねば)

できれば北岳、間ノ岳には年内にもう一度挑戦してみたいと思っていますが、登山コースも含め事前にしっかり再検討するつもりです。



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