北岳、間ノ岳へ行ってきました

テントを担いで北岳(第2位の高峰)と間ノ岳(第4位の高峰)に登ってきました。計画通りの山行とはなりませんでしたが、これで100名山登頂は75座となり、南アルプスも全10座完登となりました。また、100名山の中の標高ベスト10も富士山から千丈ヶ岳まで繋がりました。   しかし、きつかった!(最近はこの言葉ばかりです)

    中白根山付近からの北岳 (左後方に甲斐駒ケ岳、右後方に地蔵ヶ岳のオベリスク、手前に北岳山荘)
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           GPSログ(大樺沢内ではひどい誤差が発生した)
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先月中旬に熱中症と思われる症状で登り始めて早々に退散した北岳と間ノ岳、計画を練り直して今月初めから再挑戦の機会を待っていました。しかし、3日先は好天と云う天気予報は、日々同じ内容で後送りされ、中々出発できずにいました。このままズルズル延ばしていると盆休みの大混雑時期に入ってしまう可能性も出てきたので意を決して、9日から登り始めるつもりで8日に家を出発しました。

今回の計画は8日に奈良田に入り、9日の一番バスで広河原へ入って大樺沢を遡り二俣、八本歯ノコルを経て北岳山荘へ直行、テント設営後可能であれば北岳登頂、翌10日は、前日北岳に登っていなければ早朝、空身で北岳を往復し、その後間ノ岳、農鳥岳を経て大門沢を下り、大門沢小屋でテント泊、翌11日に奈良田へ下るというもので、テントを担いでの山行はほぼ40年振りとなります。
服装は先回の笠ヶ岳と同様ですがテントやシュラフ、炊事用具、食糧等で大分荷物が重たく(17kgほど)なります。北岳山荘での水購入の便を考慮して空の1リットルペットボトルも持ちました。
実際の山行は10日朝、プラティパスからの漏水でテント内を水浸しにしてしまい、農鳥岳以降は断念して、その日のうちに北岳と間ノ岳を空身で往復してから広河原へ下り、バスで奈良田へ戻ることになってしまいました。
以下、日を追っての記録です。

8月8日(月)
9時前に出発し、下道のみで諏訪、白州、韮崎、身延等を経由し、早川町奈良田バス停横の第1駐車場へは16時前に到着、身延町から入る南アルプス街道は所々細い所もあるがキャンピングカーでも問題なく走ることができる。なお、この街道に入るとコンビニはないので買い物は手前の身延市街地で済ませておきたい。
時間も早いので奈良田温泉女帝の湯にのんびり浸かる。
17時過ぎに車に戻ると隣の車の持ち主の青年が丁度下山してきた所だった。前日午後大雨に降られて大変だったらしい。

        奈良田バス停と登山者用第1駐車場
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8月9日(火)
5時前に起床、空は青空だ。昨夜から胃がすっきりせず、前日調達したおにぎりは喉を通らない、インスタントスープだけ飲んで朝食とし、出発の準備をする。
6時を過ぎると急に登山者の車が増え、6:30発の広河原行きバスは大型の車両に急遽振り替えられた。乗客は殆どが登山者で釣師は数人程度。バス料金は1000円で、南アルプスマイカー規制利用者協力金名目で100円を同時に支払う。
バスは6:30に第1駐車場を出発し、第2駐車場に寄る。ここでも登山客が乗り込んできたが着席できない人が出るほどだった。バスは細い曲がりくねった南アルプス街道を延々と進む。広河原には定刻の7:20に到着、野呂川広河原インフォメーションセンターでトイレを済ませ登山届を提出してから靴ひもを締めなおして、いざ出発。

7:40 広河原 1532m 野呂川にかかるつり橋から北岳がよく見える。この頃は谷筋に未だ雲はない。広河原山荘の脇から登山道に入り、前回の反省から意識的にゆっくり登る。20分ほどで白根御池小屋への分岐を過ぎ、前回引き返した地点も無事通過して大樺沢沿いに高度を稼いでいく。岳樺主体の樹林帯を抜けると真夏の太陽光が容赦なく照りつける。巨岩が目に入ると二俣も近い。

9:54/9:59 二俣 2222m 大勢の登山者がここで休憩している。チップトイレ用の発電機の音がやや耳障りだが仕方あるまい。まだ胃の調子がおかしく、ゼリー飲料を口に入れたのみで登り再開、小さくなった雪渓を横目にしながら急坂を喘ぎながら登って行く。上部二俣までの間はバットレスからの落石が有りうるので速やかに通り抜けるようにとの注意文を思い出しながら黙々と登り、ようやく上部二股に着いて一安心、休憩。ここから更に傾斜が強まり、太い丸太製の急な梯子が連続するが、シャリバテなのか身体が重く感じられ、休み休みの登りとなる。いつの間にか野呂川の谷から雲が湧き上がってきている。

12:48/13:01 八本歯ノコル 2872m ようやく到着。有名な北岳バットレスがすぐそこに見えるが、今日は登攀中のクライマーはいないようだ。左手には急な北沢を挟んで間ノ岳、中白根山、これから向かう北岳山荘も雲間に小さく見える。ここでエネルギー補給していたら、大きな雨滴がポツリポツリとやってきたので大急ぎで雨具を着込む。あっという間に土砂降りになった。雷鳴が聞こえないのがせめてもの救いか。ここからは遮るものが何もないので雷は本当に怖い。
ここからも木製梯子や大きな岩が重なった急傾斜の登山道が続く、雨具で蒸し暑い中黙々と登り、ようやく北岳山荘へのトラバース道分岐点へ到着、この頃雨が上がったので雨具を一旦脱ぐ。
トラバース道は急傾斜の岸壁に架けられた木製の橋や梯子が多い。ガスのお陰か高度感はあまり感じられないが雨で滑るので慎重に進む。途中でまた雨が降り出して雨具を着込む。北岳山荘から北岳へ至る登山道に合流して、後は傾斜の緩い道を歩むのみ。雨はまた上がっていた。 

14:33 北岳山荘 2881m ようやく到着、予定より1時間近く余計にかかってしまった。山荘受付でテント泊の申し込みをし料金600円を支払う。云十年振りに購入したテント(モンベル ステラリッジ1型)を設営していると、また雨が降り出した。大急ぎで設営し、中へ逃げ込む。遠くで雷鳴も聞こえるが、幸いにも近くに来ることはなかった。
18時過ぎには雨も止み、夕日も雲間から顔を出し、小屋泊まりの人もテント泊の人も景色を眺めに外へ出てきた。北岳が間近に大きく見える。色は薄かったがブロッケンを北谷側の雲上に見ることができた。ここ数年日帰り登山が殆どなので山上で夕陽を楽しむのも随分久し振りだ。
山荘で水(下の沢からポンプで汲み上げているそうだ)を買い(1リットルにつき100円を蛇口近くに設置してある箱に投入する)、プラティパスへ満タンに移しておく。
夕食は、相変わらず食欲が湧かないため、レトルトのうどんで済ませる。山荘でビールも売っていて飲みたいところだが、高所であることと胃の調子を考え、じっと我慢した。

        野呂川のつり橋からの北岳(左側の谷が大樺沢、突きあげた所が八本歯ノコル)
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        大樺沢二俣下の巨岩(登山者のいる所が二俣)
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        北岳バットレス
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        トラバース道1
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        トラバース道2
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        トラバース道脇の高山植物
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        北岳山荘とトイレ横のテント場(雨が上がり、北岳を眺めている登山者)
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        夕陽(右は千丈ヶ岳)
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        夕陽に照らされる北岳
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        夕陽と雲のイタズラ
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8月10日(水)
夜中に外を見ると星空が広がっている。3時過ぎに起床、レトルトのおかゆを食べ、サブザックに水とアンパン、防寒着を入れ出発の準備をする。

4:00 北岳山荘テント場 2881m 雨具の上着を着、ヘッデンを点けて真っ暗な中を出発、先の方にも明かりが動いている。登山道は分かりやすく、真っ暗でも間違える心配もない。まだ星が沢山瞬いている。
八本歯ノコルへの上部分岐辺りで大分白んできた。ここから北岳山頂までは尾根の西側に回り込むので急がないと日の出を見られない。

4:52/5:12 北岳山頂 3193m 日本第2位の高峰へ到着だ。丁度鳳凰3山越しに太陽が顔を出す所だった。既に10数人の先客が日の出を見つめている。先月の熱中症敗退の後だけに山頂に立てたことは本当に嬉しい。3等三角点の表記は白根山になっていた。
アンパンをかじりながら周囲の眺望を楽しむ。北の方には40年ほど前に登った甲斐駒ケ岳、千丈ヶ岳がすぐ近くに見える。東の方には昨年登った地蔵ヶ岳、観音岳、薬師岳が見える。南の方には、この後向かう間ノ岳が見える。
西の方には中央アルプスが、北方向の遠方には北アルプスも小さく望める。いつまでも留まりたい気分だが後行程があるので20分ほどで下山開始、途中から西風が強くなってきた。

5:54/7:03 北岳山荘テント場 2881m 昨日の雨で濡れたテントを少しでも乾かそうとフライを外し、本体のポールを外したらテントの中に水が溜まっている。驚いて中を調べたら、昨夜満タンにしてリュックに納めたプラティパスの水が1/4ほどに減っている。今朝起きた時には水漏れはなかったように思うので、出発前にシュラフを収納しようと狭いテント内で格闘した際リュックを変形させ、プラティパスの口栓を無理やり傾けてしまったのだろうか?(プラティパスの口栓からの水漏れはこれまでに2回ほど経験しており、気をつけてはいたのだが、、)
この水漏れ騒ぎでシュラフやマット、その他諸々も濡れてしまった。これらを乾燥させる時間的余裕もなさそうだし、濡れたシュラフで寝るのも適わない。一気にモチベーション低下、農鳥岳以南は諦め、間ノ岳まで往復して広河原へ下ることに計画を変更する。単独行はこのように計画変更が簡単にできることが強みでもあるし、安易に妥協してしまって当初計画をなかなか達成できないという弱みにもなる。
そうと決まれば、とりあえずお腹が空いたので腹ごしらえとする。コーヒーを入れ、パンを流し込んでから荷物のパッキングを開始、テント場にメインザックをデポし、サブザックを担いで間ノ岳を目指し出発。

7:32 中白根山 3055m 乗鞍岳等より高いのに、有名な北岳と間ノ岳の間にあるためか殆ど知られていない気の毒な山だ。この前後の登山道は稜線を行き歩きやすく左右の眺望も素晴らしくて夏山の醍醐味を満喫できる。

8:24/8:49 間ノ岳 3189m 日本第4位の高峰へ到着、急峻な北岳と違いのっぺりした山頂だ。3等三角点の表記は「間ノ岳」ではなく「相ノ岳」となっていた。眺望は素晴らしい。南側のすぐ近くに当初予定していた西農鳥岳や農鳥岳、少し西寄りに塩見岳、更に南の奥の方には荒川3山などが続く。西方には中央アルプスの山並みもしっかり望める。
広河原発奈良田行き16:10発の最終バスを逃すと大変なことになるので25分ほどで早々に下山開始、中白根山手前からの北岳が格好良かった。

9:24 中白根山 3055m 通過

9:46/10:10 北岳山荘テント場 2881m 朝方沢山いた登山者も殆どが各々の目的地に向け出発した後で山荘周りの人影は少ない。
荷造りし直すのは面倒なのでメインザックの上にサブザックを無理やり抑え込み、重たくなったザックを背負って下山開始、下山と云っても最初のうちはトラバース道を3000m付近まで登り上げねばならない。八本歯ノコルから北岳へ直上する登山道に合流し、ようやく下りにかかる。この頃から、登ってくる登山者が多くなる。

11:09/11:18 八本歯ノコル 2872m 時間的に余裕が見えてきたのでここで休憩を取り、北岳山荘や間ノ岳に別れを告げる。ここからもしばらくは木製梯子の下降が続く。登り優先で待たされることが多いが、休憩をとれると思えば、待たされるのも悪くはない。特にこの区間の登りはきついので、登ってくる人は殆どが苦しそうな表情をしている。頑張れ!
下る方の自分も大腿四頭筋がパンパンになってきた。重い荷物を背負っての急な下りは特に太腿に負担がかかる。雪渓の脇を通り、ようやく二俣へ到着 

12:40/12:50 二俣 2222m 残ったアンパンでエネルギーを補給してから下山を再開する。標高が下がって気温が高くなり、日射も加わって汗だく状態、これに太腿パンパンが加わって、まさにやけくそ状態での下山だ。白根御池小屋への分岐にようやく到着、後少しの我慢だ。

14:38 広河原山荘 1530m ようやく着いた。小屋前のベンチで冷たいビールを飲みながら談笑している登山者がいる。美味そう! しかし、後のことを考えるとまだビールを飲むわけにはいかない。冷えたジュースで我慢、これも美味かった。まだバスには大分時間があるので、ここの木陰でのんびり待つこととしよう。 

16:10 広河原バス停発 芦安や甲府へ行くバスはほぼ満席状態だったが、奈良田行きの方は完全な貸し切り状態、奈良田から入る登山者は大多数が農鳥岳経由で下山するようだ。 細いクネクネ道をエンジンブレーキを効かせながら走るバスの中でうつらうつらしたり、深い谷を見下ろしたりしているうちに定刻の17時に奈良田へ着いた。

自分の車へ戻り、予定を変更して早く下山した旨家内へ電話してから入浴セットを持って奈良田温泉女帝の湯へ向かうが営業終了の木札がぶら下がっていて誰もいない。この温泉は水曜休みの19時まで営業で、8月は水曜日も営業すると看板に書いてあったのにどうしたのだろう? 仕方ないので車へ戻り、時刻も18時近くになっていて日帰り入浴可能なところも良く判らないため、勝手知ったる富士見町の道の駅蔦木宿まで行くことにする。ここの温泉つたの湯は22時まで入浴可能だ。
来た時と逆の方向に下道を走り、20時に蔦木宿へ着いた。蔦木宿には5台のキャンピングカーを含め多くの県外ナンバーの車が停まっている。
つたの湯は、20時過ぎなのに結構混んでいたが、今夜はここで車中泊するつもりなのでのんびり浸かってパンパンになった太腿の筋肉をほぐす。
食事処は既に閉店しているので、手持ちの食材を適当に食べながら車内の冷凍庫で急速冷却してきた缶ビールでようやく喉を潤すことができた。
今日は全国的に暑い日だったらしいが、全ての窓を開放して網戸にして寝たら快適に眠れた。

        北岳山頂での日の出(手前のシルエットは鳳凰3山)
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        北岳山頂にて(背景は中央アルプス)
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        富士山
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        北岳の3等三角点(白根岳と表記されている)
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        間ノ岳へ続く稜線(夏山ムード満点の縦走路が続く)
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        中白根山からの北岳と北岳山荘(左奥は甲斐駒ケ岳)
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        間ノ岳山頂にて(左後方は北岳)
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        間ノ岳の3等三角点(相ノ岳と表記されている)
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        間ノ岳山頂からの眺め(右から北岳、甲斐駒ケ岳、千丈ヶ岳)
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        間ノ岳山頂からの眺め(右から塩見岳、西農鳥岳、農鳥岳、遠景は荒川3山?)
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        トラバース道からの間ノ岳と北岳山荘
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        北岳バットレスを見上げる
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8月11日(木)
昨夜はしっかり眠れた。山の携行食とドリップコーヒーで朝食とし、7時過ぎに蔦木宿を出発、途中の道路はお盆の帰省のはしりだろうか、少し混雑し始めていた。途中交通事故渋滞も2ヶ所あった。下道のみで13時前に無事帰宅できた。


今回の山行は当初の計画通りにはいきませんでしたが北岳と間ノ岳という国内第2位と4位の高峰の山頂に立つことができたこと、水害騒動もありましたがほぼ40年振りのテント泊をなんとかこなせすことができたことから、まあ80点の合格点としましょう。勝手に採点できるのも単独行のいいところですが!

ところで今回私のGPS(ガーミンetrex VISTA HCx英語版)は大樺沢の谷の途中から全く使いものにならないほどの位置誤差を生じてしまいました。登りも下りも二俣より少し下の地点辺りまではもっともらしかったのですが、この辺りから急激に位置がずれ始めています。なお、登りで八本歯ノコル手前で途切れているのは位置誤差が大きくなりすぎたため編集時に除外しました。また、下りでの途切れは電池切れによるものです。
大樺沢が特に衛星電波を受けにくい厳しい地形だったのか、あるいは私のGPSに何らかの理由で性能劣化(感度低下)でも生じたのかは判りませんが、山スキーでは命にかかわることもあるアイテムだけに、今後しっかりと見極めていこうと思います。

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