槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳の記録

8月16日に槍平起点に槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳の4つの3000m峰を巡り槍平に戻った山行と、その前後を含めた記録です。

    GPSログ(8月16日分)
画像

(登山口と槍平までの間は深い谷のため私の古いGPS(etrex VISTA HCx)では大きな誤差が発生しているので割愛した)

当初は、1昨年8月に北岳から間ノ岳を経て縦走するつもりで臨んだものの間ノ岳までで下山してしまった西農鳥岳、農鳥岳に大門沢からリベンジする計画を立てていたが、出発直前のチェックで北岳周辺の天候が雨交じりの予報に変わってしまい、急遽、以前から目を着けていた槍ヶ岳周辺のお手軽3000m峰に目的地を変えることにした。時期的に山小屋は大混雑であろうからテント泊とし、槍ヶ岳のテント場はかなり早い時間に満杯になるという噂も聞いたことがあるので、あまり混まないという槍平にベースを置き、ここから槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳を周回する計画とする。この計画だと重荷を稜線まで担ぎ上げる必要もないし、何より冷たい水が何の不自由もなく使えるのが嬉しい。
ただ、最近あまり山へは行っていないので老齢と相まって、果たして2日目の行程をこなせるか一抹の不安も残る。ここは飛騨乗越へ8:30までに着けば計画通り槍ヶ岳へ回り、着かなければ槍ヶ岳はパスして大喰岳へ向かうつもりで出かけることにした。

以下記録です。

メンバー:単独
行程:
 8月15日(木) 鍋平園地駐車場5;56⇒6:32新穂高登山口6:35⇒8:10白出沢出会8:17⇒9:25滝谷出会9:35⇒10:40槍平キャンプ場
 沿面距離:10.2km、累積高度:+1099m、-322m (カシミール計算値)

 8月16日(金) 槍平キャンプ場4:55⇒6:18千丈沢乗越分岐6:25⇒7:38飛騨乗越7:40⇒7:51槍ヶ岳山荘8:02⇒8:19槍ヶ岳8:33⇒8:48槍ヶ岳山荘8:54⇒9:03飛騨乗越9:03⇒9:22大喰岳9:25⇒9:59中岳10:10⇒11:07南岳11:11⇒11:18南岳小屋11:53⇒12:50西尾根のコル12:50⇒14:25槍平キャンプ場
 沿面距離:11.8km、累積高度:±1526m (GPSデータ)

 8月17日 槍平キャンプ場6:16⇒6:47滝谷出会6:50⇒7:50白出沢出会7:55⇒9:17新穂高登山口 (ロープウェイでしらかば平駅へ、10:02鍋平園地駐車場着)
 沿面距離:9.7km、累積高度:+152m、-1145m (カシミール計算値、ロープウェイは含まず)

8月14日(水)
新穂高登山者用駐車場に空きがあるか心配なので早めの昼食を済ませて家を出る。「もう歳なんだから、決して無理しないように」と家内に酸っぱいほどに念を押されての出発です。キャンピングカーも8月に入って最初の出動だ。
途中、下呂の先のスーパーで食糧を調達し、新穂高へは16時に到着、登山者用駐車場へ行くと、無情にも満杯の看板が、、係りの人に聞くと、今日は車の出入りが数台しかなく、この先も空きが出る可能性は低い、鍋平園地駐車場なら駐車できるとのこと。仕方なしに2.6km離れた鍋平園地駐車場へ向かう。
さすがにここにはまだ空きスペースがあり、駐車する。
まだ時間も早いので、先の係りの人から聞いた登山口へのショートカットコースの様子をを見に行く。ロープウェイの中間しらかば平駅方面へ向かい有料駐車場に入った所の右側に小さな看板があり、看板の指示通り左手に進むと、また看板があって、ここも指示通り森に入って行くと登山道になる。ここがショートカットコースの入口のようだ。
駐車場越しに見える焼岳が美しい。

    鍋平園地駐車場(ここは無料)と焼岳
画像


  
8月15日(木)
天気は良さそう、朝食を済ませ、出発の準備をしているとアーチェリー銀メダリストの山本先生を若くしたような青年から新穂高登山口へのショートカットコースへの道を尋ねられたので昨日下見しておいた様子を伝える。この青年(YKさん)とは以降下山までほぼ同じ行程をとることになる。

5:56 1188m 鍋平園地駐車場 今日は時間的に十分すぎるほどの余裕があるのでのんびり歩き始める。ショートカットコース入口付近で大きなリュックを背負ったYKさんに会う。ショートカットコースに入るとそれまでの車道や遊歩道とは違い完全な山道となる。以外に時間がかかって新穂高登山口へ到着。いつもの登山者用駐車場に比べ20分ほどのロスだ。

6:32/6:35 1130m 新穂高登山口 ロープウェイ乗場下の登山センターで登山届を投函し、この先ソフトバンクは通じなくなるので家内へこれから入山する旨電話してから右俣林道を登り始める。
右俣林道を1.6kmほど進んだ所からショートカット道へ入り、登りきると穂高平小屋へ到着。小屋へ遊びに来ているのか小学校低学年くらいの男の子が牧場で遊んでいた。
小休止してから林道を更に進む。奥穂高岳への登山口に着くと、そこはもう白出沢出会いだ。

8:10/8:17 1543m 白出沢出会 広い河原の大石の上で休憩してから手摺の付いた鉄橋を渡り、登山道へ入る。この頃から時々下山者とすれ違うようになる。ブドウ谷、チビ谷を通過。

9:25/9:35 1763m 滝谷出会 ここも大石がゴロゴロする広い河原、木橋を渡った所で10分ほど休憩する。木橋から100mほど進んだ所の右手の大岩に藤木九三のレリーフがあり、足を止める。
登山道を更に進んで南沢の河原を渡り、木道が現れてくると槍平小屋は近い。

10:40 1988m 槍平小屋キャンプ場 荷物が重たいのでゆっくり歩いてきたが、もう着いてしまった。小屋でテント設営の手続きをする。代金は500円/人、まだ時間が早いため1番だった。
水場の冷たい水で顔を洗い、喉を潤わせてからテント場の隅っこにテントを設営する。設営されているテントはまだまばらだ。昼頃には大きな荷物を背負ったYKさんも到着した。
午後はビールを飲みながら小屋の前で色んな方々と山談義などして過ごす。
17時近くに隣に張りっ放しになっていたテントの持ち主夫妻が下山してきた。昨夜は槍ヶ岳山荘へ泊ったとのこと。
重量軽減のため持参の食糧はレトルト食品ばかり、味気ないが仕方ない。ビールを飲みながら流し込む。
18時頃、ポツポツと雨が降り始め、すぐに土砂降りになった。やることもないので寝ることにするか、それにしてもテントを打つ雨音がうるさい。雨は1時間半ほどで止んだ。隣のテントの上品なお見かけのご夫婦の軽妙な大阪弁のやりとり(話の内容は聴き取れないが、リズムが素晴らしい)をBGMに眠りについた。

    朝の鍋平園地駐車場
画像


    朝の穂高平小屋
画像


    白出沢出会いの奥穂登山口
画像


    滝谷出会い
画像


    槍平小屋
画像


    槍平テント場
画像

    

8月16日(金)
4時前に起床、まだ暗い。あまり食欲はないので水を浸すだけで食べられるお餅を少々胃に流し込む、ハイドレーションに水2リッター、ペットボトルにアクエリアス1リッターそして上でラーメンを作るかも知れないのでコンロと水1リッターもザックに詰め込む。

4:55 1988m 槍平キャンプ場 少し明るくなってきたところで出発、岳樺主体の林間の登山道を登って行く。最後の水場を過ぎ更に進むと森林限界を超えていつの間にか槍平の横に聳えていた奥丸山と同じ高さになっている。

6:18/6:25 2540m 千丈沢乗越分岐 案内柱の脇に救急箱が設置されている。背後の笠ヶ岳が美しい。これまでのところ体調もいいので千丈沢乗越経由にするか少し迷ったが、家内の言葉を思い出し、計画通り安全な飛騨乗越経由とする。この頃になると下山者と多くすれ違う。

7:38/7:40 3005m 飛騨乗越 槍の穂先がようやく目に入る。槍沢側も一望できる。早い時間に着くことができたので計画通り槍の穂先まで行くことにしよう。
山荘下のテント場もこの時間はガラ空きだが、大阪弁のご夫婦の話によると昨日は12時には既に満杯だったらしい。そういえば自分で重荷を担ぎあげテン泊する山ガールが急増中なんて数日前のテレビで報道していたなー。
 
7:51/8:02 3085m 槍ヶ岳山荘 宿泊客の大部分は出発した後のようで前の広場もそれほど人は多くはない。
槍の穂先を見上げるとやっぱり急だ。山頂や途中に登山者は見えるが渋滞などはない。サブザックを取りだしアクエリアスだけを放り込み、肌寒いので雨具の上着を着用、手袋もはめて山頂を目指す。
岩峰を左回りで登って行く。3人のクライマーが小槍を登っている。手掛かり足がかりがしっかりあり、ない所は鉄の棒が岩盤に埋め込んであるので不安はない。

8:19/8:33 3180m 槍ヶ岳 最後の垂直の梯子を登りきって山頂に着いた。4年振りの槍の穂先だ。中央アルプスなど遠くは霞んで見えないが、周囲の北アルプスの山々は良く見える。
しばらく360°の眺望を楽しんでから下り専用の梯子で下山開始、小学校中学年くらいの男の子が怖いと云いながらツルツルの岩盤に鉄の棒を打ちこんであるところを腹這いになって登って来た。確かに鉄棒の間隔が大人には問題ないが背の小さな子どもには広すぎるようだ。男の子はこの難所を登りきると元気よく梯子を登って行った。
根元に着いた時、YK青年が登って来た。後で聞くと千丈沢乗越へ登り上げ西鎌尾根経由で登って来たとのことだった。

8:48/8:54 3085m 槍ヶ岳山荘 少しだけ腹ごしらえし、先に進むことにする。テント場ではもうテントを設営している人がいてびっくりする。

9:03 3005m 飛騨乗越 ここからは初めての道だ。岩屑の登山道を登って行く。

9:22/9:25 3101m 大喰岳 登山道を左に少し外れた所が山頂だ。ここから眺める槍ヶ岳は正に一服の名画だ。
稜線漫歩を楽しみながら中岳を目指す。途中、マッターホルンに似た岩が右手にあったので思わず足を止めて写真をパチリ。

9:59/10:10 3084m 中岳 梯子を二つ登りきるとのっぺりした中岳山頂だ。ここからも大喰岳を前に置き凛と聳え立つ槍ヶ岳が望まれる。うどん県から来たという青年から写真撮影を頼まれ、色々言葉を交わす。山で会う若者は皆礼儀正しく清々しい。
中岳カールの雪渓を右から巻くように下る。ここからも稜線漫歩が続く。天狗原へ下る登山道を左に分け、少し進んだ所で、昨日槍平で長時間おしゃべりした三重県の男性とスライドし、南岳新道の様子をお聴きする。
右手には急斜面を下っている南岳新道が見える。急斜面に残った残雪をトラバースする個所もある。

11:07/11:11 3033m 南岳 のっぺりした山頂から振り返ると、歩いてきた中岳、大喰岳越に槍ヶ岳が望まれる。
とりあえずここまで来れば、後は下るだけなので時間的には全く問題ないと一安心だ。

11:18/11:53 2976m 南岳小屋 お腹が空いてきたが何となくカレーが食べたくなったので、ここでカレーライスを注文、900円也。結構美味しかった。この時、西穂から奥穂、北穂、大キレットを超えてきたという青年が入って来てビールを注文し、美味しそうに飲んでいた。遠路熊本から来たそうで、ジャンダルムだけは怖かったと語っていた。
近くの獅子鼻岩展望台まで行って大キレットや滝谷、北穂を眺めてから下山開始。
岩屑の緩やかな登山道を下って行くと斜度が一気に増す。下の方に登って来る登山者が見えるので落石を起こさないよう慎重に下って行く。急斜面を下りきって左へトラバースすると雪の急斜面が現れる。雪を巾広く削ってあるので特に問題はない。ここから階段等を登って南岳西尾根へ飛び出す。ハイマツの上に設置された木道を下って行く。

12:50 2600m 西尾根のコル ここにも救急箱が設置されていて、登山靴のソールが剥がれたら、ここに入れてあるテープで補修して下山することというようなメッセージも書いてある。
南岳新道の核心部はここからのような気がする。岳樺の樹林帯に入ってから強烈な下りが続く。数段くらいの小さな梯子が次々と出てくる。
2450m辺りでヘルメットをザックにぶら下げた数人のご婦人だけのパーティーとすれちがったが、「もう完全にバテバテ」と辛そうに登っていった。小屋までまだ500m以上登らねばならないが、あのペースで明るい内に着けるか不安に思うほどだ。
針葉樹林帯に入ってもまだまだ急な下りが続く。14時頃ようやく南沢の河原に出た。小屋の掲示板に小屋から10分ほど南岳新道を戻った辺りでソフトバンクも通じると書いてあったので、携帯の電源を入れると通じた。家内にとりあえずきつい所は済んだと伝えておく。
やがて傾斜が緩み、森の中に槍平小屋が見えてきた。

14:25 1988m 槍平キャンプ場 何とか無事下山することができた。
それにしてもきつい下りだった。南岳新道は標高差約1000mで平均斜度も30°以上ある。天候急変時等に避難できそうな岩陰なども見当たらなかった。ここを登りに使うにしても下りに使うにしても、天候をよく見計らって、時間に余裕を持って利用すべきであろう。

小屋で本日のテント場利用の手続きをし、冷たい水で顔を洗い、喉をうるおしてようやく一息つけた。
しばらくするとかのYK青年も南岳新道を下山してきた。
後は昼寝をしたり、ビールを飲んだり、近くのテントの方々と情報交換したりして過ごす。
夕飯はご飯を食べる気になれず、小屋で調達したカップうどんとビールで済ませてしまった。
今日は上空に雲が出て来ていたが幸い夕立にみまわれるようなことはなかった。

    千丈沢乗越分岐
画像


    飛騨乗越(ようやく槍が見えた)
画像


    槍ヶ岳山荘
画像


    穂先を見上げる
画像


    小槍(3人のクライマーが登っていた)
画像


    槍ヶ岳山頂
画像


    槍ヶ岳山荘を見下ろす
画像


    北方視
画像


    南方視(これから進む大喰岳/中岳/南岳、その先には穂高の峰々)
画像


    槍ヶ岳と槍ヶ岳山荘
画像


    大喰岳山頂からの槍ヶ岳
画像


    マッターホルンみたいな岩(左の出っ張りがないともっといいのだが)
画像


    中岳山頂下の梯子
画像

    
    中岳山頂からの槍ヶ岳と大喰岳
画像


    天狗原を見下ろす
画像


    南岳山頂
画像


    南岳小屋
画像


    獅子鼻岩展望台からの大キレットと滝谷、北穂等
画像


    南岳新道の残雪
画像


    槍平小屋が見えるが中々近づかない
画像


    西尾根のコルの救急箱
画像



8月17日(土)
今日は下山するだけなのでゆっくり起床。天気は良さそうだがテントは夜露で濡れている。インスタントラーメンの朝食をとり、テントを撤収して荷物をパッキングする。

6:16 1988m 槍平キャンプ場 消費した分だけ軽くはなったが、やっぱり重たいザックを担いで下山開始。昨日の南岳新道の下りで虐められた腿や膝の筋肉がもう痛くなってきた。我慢しながら下山を続ける。

6:47/6:50 1763m 滝谷出会 休憩後我慢の下山を続ける。

7:50/7:55 1543m 白出し沢出会い 休憩、ここからは単調な右俣林道の下りになる。白出沢の護岸工事の関係車両とすれ違う。時々本日の入山者ともすれ違う。皆さんまだ元気一杯のように見える。
穂高平小屋の前でザックを下ろして休憩していたらYK青年が下山してきて休むことなく下山していった。続いて私も下山再開、下りはショートカットコースは止めて林道をダラダラと下った。
新穂高登山口の少し上でYK青年が水を飲みながら待っていてくれた。
登山口から鍋平までどうやって帰るか、結局、ロープウェイの待ち時間がそれほどでもなければ利用し、長そうなら諦めて歩こうなどと話しながら下山を続ける。
ロープウェイの駐車場付近まで来ると観光客が溢れている。

9:17 1130m 新穂高登山口 なにはともあれ、無事登山口まで帰ってきました。
登山センターで下山届を書いて投函してからロープウェイ乗場へ向かう。臨時便が運行されていて待ち時間はそれほど長くはなさそうなのでしらかば平までのチケット(大人200円、荷物100円)を買い、観光客に交じって待ち行列に並ぶ。3日間風呂に入っていないので回りに迷惑をかけているのではないかと気になる。
20分ほど待って乗り込み数分でしらかば平へ到着。後は車道を1.3kmほど下るのみ。

10:02 1188m 鍋平園地駐車場 YK青年と挨拶を交わしここで分れる。

日射しが強く暑い。荷物を片づけ、混雑するひらゆの森で3日間の汗と汚れを洗い落としてから帰路につく。41号線を走行してきたが特に大きな渋滞もなく16時前には無事帰宅できた。


この記事へのコメント

K
2013年08月20日 22:02
テント二泊山行き、お疲れ様でした。
槍平では、結構まったりされたようで、私は、
山行きで最近は、まったりする事ありませんので、羨ましいです。大キレットも行って見たいですね。
ファントム
2013年08月20日 22:55
Kさん
ハイ、槍平ではせっかちじいさんでは持て余すほどゆったりしてきました。
でも2日目の下りは堪えました。膝や腰の痛みがようやく引いたところです。
大キレットも勿論行ってみたいですが、ジャンダルムも気になって仕方ありません。でも歳を考えるとやっぱりヤバイかなァ~!

この記事へのトラックバック